11 遺産分割における具体的な分割方法

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11 遺産分割における具体的な分割方法

(1) 分割方法の種類

遺産分割における分割方法には,以下の4つがあります。

  現物分割

  代償分割

  換価分割

  共有分割

(2) どの分割方法が選択されるか

ア 遺産分割協議,遺産分割調停の場合

遺産分割協議及び遺産分割調停においては,当事者間で合意に達すれば,どの分割方法を採ることも可能です。
 ただし,共有分割は共有状態が残り,いずれ共有物分割請求(民法第256条)によって解決しなければならなくなる可能性が高いので,お勧めできません。


イ 遺産分割審判の場合

(ア) 遺産分割審判の場合,分割方法についての当事者の希望がある程度一致している場合には,その希望が優先されることがあります。

(イ) 分割方法についての当事者の希望が一致していない場合には,以下の検討を踏まえて分割方法が定められます。

現物分割を検討する

⇒現物分割が相当でない場合に代償分割を検討する

⇒代償分割が相当でない場合に換価分割を検討する

⇒共有分割を検討する


(3) 現物分割

現物分割とは,個々の財産の形状や性質を変更することなく分割するものです。
 遺産分割の原則的方法とされています。

(4) 代償分割

ア 代償分割とは

(ア) 代償分割とは,一部の相続人に法定相続分を超える財産を取得させた上,他の相続人に対する債務を負担させる方法です。

相続手続の便宜のために,預貯金や株式を特定の相続人に取得させる一方で,それにより換価した金員のなかから他の相続人に対し代償金を支払うものも,代償分割に含まれます。

(イ) 遺産分割協議や遺産分割調停においては代償分割によることが可能です。

(ウ) 他方,遺産分割審判においては,「特別の事由」があると認められるときに,共同相続人の1人または数人に他の共同相続人に対し債務を負担させて,現物分割に代えることができます。


イ 遺産分割審判に際して代償分割が認められる要件

(ア) 遺産分割審判において代償分割が認められる要件は以下の2つです。

a. 「特別の事由」が存すること(家事事件手続法第195条)

b. 債務を負担することとなる相続人にその資力があること

(イ) 代償分割が認められる「特別の事由」には,以下のものがあります(片岡武・菅野眞一『家庭裁判所における遺産分割・遺留分 第3版』(2017,日本加除出版)408頁)。

a. 現物分割が不可能な場合

b. 現物分割をすると分割後の財産の経済的価値を著しく損なうため不適当である場合

c. 特定の遺産に対する特定の相続人の占有,利用状態を得に保護する必要がある場合

d. 共同相続人間に代償金支払の方法によることについて,おおむね争いがない場合

(5) 換価分割

ア 換価分割とは

換価分割とは,遺産を売却するなどして換金(換価処分)した後に,価格を分配する方法です。
 換価分割には,以下の2つの場合があります。

(ア) 協議分割による換価(当事者の合意に基づく任意売却)

(イ) 審判における換価


イ 協議分割による換価(当事者の合意に基づく任意売却)

(ア) 当事者の合意に基づき,換価代金を分割対象財産とすることを前提として,第三者に売却し,その代金を分配する方法です。

現物分割が困難で,代償金支払能力の不足や取得希望者がいないといった理由で代償分割もできない場合に用いられることが多くなっています。

(イ) 当事者全員により不動産を任意売却するのは不動産売買契約書への署名押印や司法書士への委任を含む不動産決済などが大変です。

そこで,当事者間で話がつくのであれば,特定の相続人が不動産を取得して当該相続人が不動産を売却した上で,その不動産売却金のなかから他の共同相続人に対し代償金を支払うという,代償分割と換価分割を組み合わせる方策が有用です。

(ウ) 被相続人と特定の相続人が不動産を共有している場合に,当該不動産全体を売却し,その売却金のなかから,当該特定の相続人の持分に対応する金員を支払った上でその残金を共同相続人間で分配するという方策を採ることもあります。


ウ 審判における換価

遺産分割協議や遺産分割調停で話がまとまらずに審判に移行した場合には,以下の2つのいずれかの換価方法が採用されることとなります。

(ア) 競売(形式的競売)して換価することを命ずる裁判

(イ) 任意に売却し換価することを命ずる裁判


エ 競売(形式的競売)して換価することを命ずる裁判

競売(形式的競売)して換価することを命ずる裁判は,家庭裁判所が遺産分割の審判をするため必要があると認めるときになされます(家事事件手続法第194条第1項)。
 民事執行法第195条による担保権の実行としての競売により売却され,その売却金額が相続人に対し配当されます。


オ 任意に売却し換価することを命ずる裁判

任意に売却し換価することを命ずる裁判は,家庭裁判所が遺産分割の審判をするために必要があり,相当と認めるときで,相続人の意見を聴いたうえで競売によるべき旨の意思表示をする者がいない場合になされます(家事事件手続法第194条第2項)。
 競売(形式的競売)して換価することを命ずる裁判の場合より任意に売却し換価することを命ずる裁判によるほうが実質的に妥当な売却を期待できるときは,「相当と認めるとき」にあたると考えられています。

(6) 共有分割

ア 共有分割とは

共有分割とは,遺産の全部又は一部を具体的相続分による物権法上の共有取得とする方法です。


イ 共有分割が採られる場合

遺産分割において共有状態が比較的容易に解消できる場合にはそれによるべきと考えられています。
 そのため,共有分割は,以下のような場合に限ってなされるべきものと考えられています。

(ア) 現物分割・代償分割・換価分割のいずれも困難な状況にある場合(大阪高決平14.6.5家月54巻11号71頁参照)

(イ) 当事者が共有による分割を希望しており,それが不当であるとは認められない場合


ウ 共有分割となった後の処理

共有分割となった後,この共有状態を解消するためには,共有物分割請求(民法第256条)に基づく現物分割・代償分割・換価分割が必要となります。

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