5 法定相続人と法定相続分

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5 法定相続人と法定相続分

相続・遺言の問題を考えるにあたっては,法定相続人と法定相続分について理解しておく必要があります。


(1)法定相続人

ア 法定相続人とは

法定相続人とは,民法により,相続によって財産を譲り受ける資格を持つ人のことをいいます。
 法定相続人には,大きく分けて,血族相続人と配偶者相続人(単に「配偶者」ともいいます。)とがあります。


イ 相続人になることのできる人

(ア) 原則

相続人は,被相続人死亡時に生存していることを要するのが原則ですが,これには以下の2つの例外があります。

a.  胎児の出生擬制(民法第886条)

b.  代襲相続

(イ) 前記(ア)a.の「胎児の出生擬制

前記(ア)a.の「胎児の出生擬制」とは,相続の問題に限って,胎児を特別に生まれたものとみなして相続権が保障されるものです(民法第886条第1項)。

(ウ) 前記(ア)b.の「代襲相続

a.  前記(ア)b.の「代襲相続」とは,相続人となる者が相続開始以前に死亡したり,相続欠格や相続廃除により相続権を失った場合,その直系卑属(被相続人の子の子,または被相続人の兄弟姉妹の子)が,その相続人に代わって,その者の受けるべき相続分を相続することをいいます(民法第887条第2項,889条第2項)。

b. 代襲相続における代襲原因は,死亡,相続欠格または相続廃除に限られており(民法第887条第2項),相続放棄は含まれていないので,相続放棄の場合には代襲相続は生じません。

c.  被相続人の子の子が代襲相続人となるためには,その子が被相続人の直系卑属でなければなりません(民法第887条第2項ただし書)。

これは,被相続人とAとが養子縁組をしていて,養子AとAの妻との間に実子Bがいた場合で,かつ養子A死亡後に被相続人が死亡した場合に,被 相続人とAとの養子縁組より後に実子Bが生まれていたときには,実子Bは被相続人の直系卑属ということになるので代襲相続人となる一方で,実子Bが生まれた後に被相続人とAとの養子縁組がなされたときには,実子Bは被相続人の直系卑属とならないので代襲相続人とならない,ということを意味します。

d.  被相続人の子に代襲相続原因が発生すれば,被相続人の孫が代襲相続人になりますが,その孫に代襲相続原因が発生すれば,被相続人のひ孫が代襲相続人となります(民法第887条第3項)。

これを再代襲相続といいます(単に「再代襲」ともいいます。)。
 他方で,兄弟姉妹についての代襲相続の場合には,再代襲相続はできません(民法第889条第2項は,887条第2項を準用する一方で,同条第3項を準用していないため。)。
 もっとも,この兄弟姉妹について再代襲がないというのは昭和56年1月1日施行の民法改正によるものですので,それより以前に開始された相続については再代襲が認められます。


ウ 法定相続人の種類

法定相続人には,血族相続人と配偶者があります。

(ア) 血族相続人

a. 血族相続人には以下のb.~d.のように,順位があります。

先順位にランクされる血族相続人が存在しないときにはじめて後順位の血族相続人が相続人となります。
  例えば,被相続人死亡時に被相続人の実子または養子が生存しているときは被相続人の両親は相続人になりません。

b.  第1順位・・・被相続人の子(養子を含む。)またはその代襲相続人である直系卑属(民法第887条第1項・第2項)

c.  第2順位・・・被相続人の直系尊属(民法第889条第1項第1号)

なお,親等の異なる直系尊属の間では親等の近い者が相続資格を取得し,それ以外の直系尊属は相続資格を取得しないので(民法第889条第1項第1号ただし書),子のいない被相続人の直系尊属として父親と祖母が生存している場合には父親は相続人になりますが,祖母は相続人になりません。

d.  第3順位・・・被相続人の兄弟姉妹(民法第889条第1項第2号)

(イ) 配偶者

配偶者は,常に相続人となります(民法第890条)。


(2) 法定相続分

ア 法定相続分の意義

被相続人は,遺言で,相続分を指定することができます(民法第902条第1項)。
 もっとも,遺言による相続分の指定がなされないときには,法定相続分が適用されます(民法第900条各号)。


イ 配偶者の相続分

(ア) 配偶者は常に相続人となり,その相続分は次のとおりとなります。

a.  相続人が配偶者と子の場合・・・・・・2分の1

b.  相続人が配偶者と直系尊属の場合・・・3分の2

c.  相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合・・・4分の3

(イ) 昭和56年1月1日施行の改正民法が適用される前の,同日より以前に相続が発生した部分についての配偶者の相続分は次のとおりです。

a.  相続人が配偶者と子の場合・・・・・・3分の1

b.  相続人が配偶者と直系尊属の場合・・・2分の1

c.  相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合・・・3分の2


ウ 血族相続人の相続分

(ア) 子,直系尊属または兄弟姉妹が数人あるときは,各自の相続分は,相等しいものとされます(民法第900第4号本文)。

ただし,片方の親のみ同じ兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)と両方の親が同じ兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)がいる場合には,半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の半分となります(同号ただし書)。

(イ) 代襲相続が発生するときには,代襲資格者の相続分は被代襲者が受けるべきであった相続分と同様ですが(民法第901条第1項本文),代襲資格を有する直系卑属が数人あるときには,被代襲者が受けるべきであった相続人について前記(ア)の規定に従って相続分を有することとなります(同項ただし書)。

(ウ) 従前,非嫡出子の相続分は嫡出子の半分とする規定(平成25年改正前の民法第900条第4号ただし書前段)がありました。

しかし,最大決平25.9.4民集67巻6号1320頁により同規定は遅くとも平成13年7月当時において憲法第14条第1項に違反していたと判断されて同規定が廃止されました。
 その結果,平成13年7月以降に開始された相続で遺産分割未了のものについては廃止された同規定は適用されません。

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