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過払金返還請求訴訟と「悪意の受益者」 3

過払金返還請求訴訟と「悪意の受益者」 3

2012/01/04

 消費者金融会社(サラ金)等の貸金業者が「悪意の受益者」に該当するかどうかについて厳格に考えられていることはは,「過払金返還請求訴訟と『悪意の受益者』 2 」に記載したとおりです。

 ところが,最高裁平成21年7月10日判決(民集63巻6号1170頁)は,「期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を否定した最高裁判所の判決の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法704条の『悪意の受益者』と推定することの可否」が争われた事案で,次のようにも判示しています。

「平成18年判決及び平成19年判決の内容は原審の判示するとおりであるが,平成18年判決が言い渡されるまでは,平成18年判決が示した期限の利益喪失特約の下での制限超過部分の支払(以下「期限の利益喪失特約下の支払」という。)は原則として貸金業法43条1項にいう『債務者が利息として任意に支払った』ものということはできないとの見解を採用した最高裁判所の判例はなく,下級審の裁判例や学説においては,このような見解を採用するものは少数であり,大多数が,期限の利益喪失特約下の支払というだけではその支払の任意性を否定することはできないとの見解に立って,同項の規定の適用要件の解釈を行っていたことは,公知の事実である。
 平成18年判決と同旨の判断を示した最高裁平成16年(受)第424号同18年1月24日第三小法廷判決・裁判集民事219号243頁においても,上記大多数の見解と同旨の個別意見が付されている。
 
 そうすると,上記事情の下では,平成18年判決が言い渡されるまでは,貸金業者において,期限の利益喪失特約下の支払であることから直ちに同項の適用が否定されるものではないとの認識を有していたとしてもやむを得ないというべきであり,貸金業者が上記認識を有していたことについては,平成19年判決の判示する特段の事情があると認めるのが相当である。
 したがって,平成18年判決の言渡し日以前の期限の利益喪失特約下の支払については,これを受領したことのみを理由として当該貸金業者を悪意の受益者であると推定することはできない。

 なお,同判決の全文は,「最高裁平成21年7月10日判決(民集63巻6号1170頁)」をご覧下さい。

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