第7回高校生模擬裁判選手権 5
2013/08/21
前日掲載のブログで述べた,被告人が犯人であることを裏付ける証拠のうち,
① 博を殴るのに用いられた(凶器の)ガラス製灰皿に被告人の指紋が付着している
こと
に関しては,被告人は次のように述べています。
「父の血がついた灰皿に私の指紋が付いていたそうですが,9月21日(本件犯行日)に家を出る直前,吸い殻がたまった灰皿を掃除し,リビングのテーブルの上に置いて,家を出たので,灰皿から私の指紋が出たとしてもおかしくないと思います。
指紋の付き方も,親指が灰皿の外側,他の4本指が灰皿の内側というのは,掃除の仕方にしては不自然ではないかと言われても,私は普段からそういう持ち方をして掃除をするので,私としては不自然ではないと思っています。」
また,どうやら,灰皿を掃除する際には,吸い殻を捨てた後,ウエットティッシュで軽く内側を拭くくらいで,水洗いはしないようです。
うーん,刑事事件では弁護人という立場になる弁護士の視点からすると,「もう少しましな弁明してくれよ。これじゃ弁護しきれないよ。」と思ってしまいます。
吸い殻を捨てたとしても,タバコの灰の細かい部分は灰皿に付着したままですから,手指を灰皿の内側に付けて掃除することなどおよそあり得ないところなのです。
「吸い殻がたまった灰皿から灰皿を捨てた後,灰皿全体を水洗いして,水の付着した灰皿の内側と外側の両方をぞうきんか何かで水を拭き取った後,利き手の左手だけで持とうとするとこのような持ち方になりますし,いつも水を拭き取った後で灰皿をリビングの元の場所に戻すために持ち運ぶためにはこのように持っています。」などと弁明してくれるのであれば,前日掲載のブログのような指紋が付着していても不思議ではないと言えるのですが・・・(それでもなお,そんな持ち方するかな?と思われても仕方がないのですが)
しかし,高校生模擬裁判選手権に参加する高校生はまじめな子ばっかりでしょうから当然タバコなど吸ったこともなく,最近だとガラス製灰皿もあまり見かけないところで(少なくとも湘南白百合学園高等学校の参加生徒さんたちで,自宅内で家族の誰かがタバコを吸っているという家庭は誰もいないようでした。),致し方ないとは思いますが,この被告人の供述の不自然さにはなかなか気がついていないように感じられました。
その点はちょっと残念(私の要求水準が高すぎるだけかもしれませんが・・・)
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