神奈川県暴力団排除条例 3
2011/04/15
神奈川県暴力団排除条例における事業者等以外の責務については,「神奈川県暴力団排除条例 2」で触れたとおりですが,同条例における事業者等の責務についての記載が重要なものとなっています。
「第4章 事業活動等における暴力団排除」においては,次のように規定されています。
(契約の締結における事業者の責務)
第22条1項
事業者は,その事業に係る取引が暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあると思料するときは,当該取引の相手方,当該取引の媒介をする者その他の関係者が暴力団員等又は暴力団経営支配法人等でないことを確認するよう努めるものとする。
2項
事業者は,その事業に関して書面による契約を締結するときは,その契約書に,当該契約の履行が暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することが判明したときは当該契約を解除することができる旨を定めるよう努めるものとする。ただし,当該契約の履行が暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがないことが明らかなときは,この限りでない。
3項
事業者は,前項の規定により契約書においてその契約を解除することができる旨を定めた場合において,当該契約の履行が暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することが判明したときは,当該契約の定めに従い,当該契約を解除するよう努めるものとする。
(利益供与等の禁止)
第23条1項
事業者は,その事業に関し,暴力団員等,暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等に対し,次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 暴力団の威力を利用する目的で,金銭,物品その他の財産上の利益を供与すること。
(2) 暴力団の威力を利用したことに関し,金銭,物品その他の財産上の利益を供与すること。
2項
事業者は,その事業に関し,次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら,暴力団員等,暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等に対して出資し,又は融資すること。
(2) 暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら,暴力団員等,暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等から出資又は融資を受けること。
(3) 暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら,暴力団員等,暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等に,その事業の全部又は一部を委託し,又は請け負わせること。
(4) 暴力団事務所の用に供されることが明らかな建築物の建築を請け負うこと。
(5) 正当な理由なく現に暴力団事務所の用に供されている建築物(現に暴力団事務所の用に供されている部分に限る。)の増築,改築又は修繕を請け負うこと。
(6) 儀式その他の暴力団の威力を示すための行事の用に供され,又は供されるおそれがあることを知りながら当該行事を行う場所を提供すること。
(7) 前各号に掲げるもののほか,暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら,暴力団員等,暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等に対して金銭,物品その他の財産上の利益を供与すること。
3項
何人も,前2項の規定に違反する事実があると思料するときは,その旨を公安委員会に通報するよう努めなければならない。
(利益受供与等の禁止)
第24条1項
暴力団員等又は暴力団経営支配法人等は,情を知って,前条第1項若しくは第2項の規定に違反することとなる行為の相手方となり,又は当該暴力団員等が指定したものを同条第1項若しくは第2項の規定に違反することとなる行為の相手方とさせてはならない。
2項
何人も,前項の規定に違反する事実があると思料するときは,その旨を公安委員会に通報するよう努めなければならない。
(宅地等の譲渡等の制限)
第25条1項
県内に所在する宅地(建物の敷地に供せられる土地をいう。)又は建物(建物の一部を含む。)(以下「宅地等」と総称する。)の譲渡,交換又は貸付け(地上権の設定その他他人に宅地等を使用させることを含む。以下この条において「譲渡等」という。)をしようとする者は,その相手方に対し,書面又は口頭で,当該宅地等を暴力団事務所の用に供しない旨を確認するよう努めるとともに,当該宅地等の譲渡等に関して書面による契約を締結するときは,その契約書に,当該宅地等を暴力団事務所の用に供してはならない旨を定めるよう努めなければならない。ただし,暴力団事務所の用に供されるおそれがないことが明らかな宅地等の譲渡等にあっては,これらの措置を講ずることを要しない。
2項
何人も,宅地等が暴力団事務所の用に供されることを知りながら,当該宅地等の譲渡等をしてはならない。
(宅地建物取引業者による助言等)
第26条1項
宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する宅地建物取引業者をいう。)は,宅地等の売買若しくは交換又は宅地等の売買,交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をしようとするときは,その取引の関係者に対し,宅地等の取引における暴力団排除に関し,必要な助言をしなければならない。
2項
何人も,宅地等が暴力団事務所の用に供されることを知りながら,当該宅地等の売買,交換又は貸借の代理又は媒介をしてはならない。
そして,これらの規定は,単に事業者等の努力義務を規定しているにすぎないものなどではありません。
「第5章 雑則」では,次のように規定されています。
(調査)
第27条
公安委員会は,第17条第1項,第23条第1項若しくは第2項,第24条第1項,第25条第2項又は前条第2項の規定に違反する行為をした疑い(第25条第2項の規定に違反する行為をしようとしている疑いを含む。)があると認められる者その他の関係者に対し,公安委員会規則で定めるところにより,その違反の事実(同項の規定に違反する行為をしようとしている疑いがあると認められる場合にあっては,当該行為をしようとしている事実)を明らかにするために必要な限度において,説明又は資料の提出を求めることができる。
(勧告)
第28条1項
公安委員会は,第23条第1項若しくは第2項,第24条第1項,第25条第2項又は第26条第2項の規定に違反する行為があった場合において,当該行為が暴力団排除に支障を及ぼし,又は及ぼすおそれがあると認めるときは,公安委員会規則で定めるところにより,当該行為をした者に対し,必要な勧告をすることができる。
2項
公安委員会は,第25条第2項の規定に違反する行為がされようとしている場合において,当該行為が暴力団排除に支障を及ぼし,又は及ぼすおそれがあると認めるときは,公安委員会規則で定めるところにより,当該行為をしようとしている者に対し,必要な勧告をすることができる。
(公表)
第29条1項
公安委員会は,必要があると認めるときは,公安委員会規則で定めるところにより,次の各号のいずれかに該当する者の氏名又は名称,違反の事実その他の公安委員会規則で定める事項を公表することができる。
(1) 正当な理由なく第27条の規定による説明若しくは資料の提出をせず,又は虚偽の説明若しくは資料の提出をした者
(2) 正当な理由なく前条第1項の規定による勧告に従わなかった者
(3) 正当な理由なく前条第2項の規定による勧告に従わないで第25条第2項の規定に違反した者
2項
公安委員会は,前項の規定により公表しようとするときは,公安委員会規則で定めるところにより,あらかじめその者に意見を述べる機会を与えなければならない。
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