長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 2
2011/11/29
消滅時効期間が5年であったり10年であったりすることは,「長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 1」記載のとおりです。
では,その消滅時効というのはいつから計算することになるのでしょうか。
この,いつから計算するかのことを,消滅時効の起算点といいますが,この起算点については,「消滅時効は権利を行使することを得るときより進行す。」(民法166条1項)と定められています。
具体的には,以下のようになっています。
1 確定期限ある債権
期限到来の時
2 不確定期限ある債権
期限到来の時
3 期限の定めのない債権
(1)原則
債権成立の時
(2)例外
ア 不法行為に基づく損害賠償請求権
被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時(民法724条)
イ 債務不履行による損害賠償請求権
本来の債務の履行を請求しうる時
ウ 消費貸借に基づく返還請求権
(ア)催告あるとき
催告後相当期間経過後
(イ)催告ないとき
契約成立から相当期間経過後
一般的には,貸金業者等から借り入れる時は「○年○月○日までに返済する」というように返済期限が確定的に定められていますから,期限到来の時が消滅時効の起算点ということになります。
とはいえ,返済期限から5年,10年経てばすべて時効消滅するかというと,事はそう単純ではありません。
時効の中断という概念があるのです。
この時効の中断というのは,債権者が権利の行使等をした時には,それまでに進行した時効の期間はゼロになるというものです。
この時効の中断事由としては,以下の3つが定められています(民法147条)。
1 請求
2 差押,仮差押又は仮処分
3 承認
つまり,債権者が債務者に対して貸金請求訴訟を提起してその判決が下された場合(請求)や,債務者が債務の一部を弁済したり弁済の猶予を頼み込んだ場合(承認)には,時効が中断し,そのときから時効が進行することになってしまうのです。
そのため,貸金業者等から借入をした場合には,最後の返済日に時効が中断することから,最後の返済日から消滅時効期間が進行することが多くなっています。
逆に言うと,判決等を取得されていなければ,債務の承認と認められるような行為をした日(一般的には最後の返済日)から一定期間(貸金業者等からの借入の場合であれば5年,信用金庫・信用協同組合からの一般的な借入の場合であれば10年)を経過していれば,消滅時効にかかったといえるわけです。
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