第7回高校生模擬裁判選手権 6
2013/08/23
前々日掲載のブログで述べた,被告人が犯人であることを裏付ける主要な証拠のうち,
② 死亡推定時刻の直前に,被告人が博に対して怒鳴りつける声を見田奈々子が聞
いたこと
に関しては,見田奈々子は次のように述べています。
「私は,その日の午後3時頃,夕飯の準備のためにパチンコを終え,駅前の『スーパーはるみ』で夕飯の材料を買って,家へと向かいました。
そして,私が博さんの家の前を通りかかったとき,家の中から,ガシャンというガラスが割れるような音がしたかと思うと,
何してるんだ,お前!
という大士君の怒鳴り声が聞こえました。
確かに,大士君と博さんの声は似ていて,電話では聞き間違えたこともありましたが,このとき聞いた声は,大士君の声に間違いありません。」
被告人のことも被害者のこともよく知っている証人にこのように断言されてしまっていると,弁護人としては心が折れそうになります。
しかし,救いは,「被害者と被告人の声が似ていること」,「被害者と被告人の声を電話では聞き間違えたこともあること」を認めていること。
弁護人としてはこの2つを手がかりに,反対尋問で「何してるんだ,お前!」と怒鳴りつけた声が博のものであった可能性が残ることを引き出す必要があります。
他方で,検察官としては,その可能性がないことまで立証する必要があります。
この点に関して,湘南白百合学園高等学校の生徒さんたちはもちろん,その対戦校となった生徒さんたちもよく頑張って引き出そうとしていましたが,間違いなく被害者の声だったと断言し続ける証人であったこともあり,反対尋問に関してはなかなか成功したとまでは評価しきれない状況でした
(とはいえ,私自身,反対尋問で証人の供述を崩したと実感できる場合は稀なので,えらそうなことは言えないのですが・・・)。
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