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更新料支払義務を定める契約の有効性についての最高裁平成23年7月15日判決

更新料支払義務を定める契約の有効性についての最高裁平成23年7月15日判決

2011/08/15

 賃貸借契約を更新する際,一般に,賃借人は更新料を支払わなければならないことが多くなっています。
 関東地方では,2年契約でその更新料は賃料の1か月分ということが多いようですが,関西地方では,1年契約でその更新料は賃料の2か月分ということが多いようです。
 私も京都に居住していたときは,1年に1度の更新料の支払いがなかなか大変と思った記憶があります。

 ところが,このような更新料の支払義務を定める契約は,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」にあたり,無効となるのではないか,その結果,更新料は支払わなくてもよいのではないかという問題が提起されるようになり,各地で訴訟提起されておりました。

 この点について最高裁が判断を下しておりますので,ご紹介いたします。
 最高裁判決の全文については, 「最高裁平成23年7月15日第二小法廷判決(平成21(受)1679)」 をご参照ください。

 本件本訴は,居住用建物を上告人から賃借した被上告人Xが,更新料の支払を約する条項(以下,単に「更新料条項」という。)は消費者契約法10条又は借地借家法30条により,定額補修分担金に関する特約は消費者契約法10条によりいずれも無効であると主張して,上告人に対し,不当利得返還請求権に基づき支払済みの更新料22万8000円及び定額補修分担金12万円の返還を求める事案です。
 上告人は,被上告人Xに対し,未払更新料7万6000円の支払を求める反訴を提起するとともに,連帯保証人である被上告人Zに対し,上記未払更新料につき保証債務の履行を求める訴えを提起し,この訴えは,上記の本訴及び反訴と併合審理されています。

 最高裁は,次のように述べて賃借人側の請求を退けました。
「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう『民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』には当たらないと解するのが相当である。」

 以前ご紹介した,「「敷引特約」の有効性に関する最高裁平成23年3月24日判決」 と併せると,賃貸人に有利な慣行を最高裁が追認したと評価することができるでしょう。

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