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横浜弁護士会川崎支部と地域司法 3

横浜弁護士会川崎支部と地域司法 3

2011/12/05

管轄については,「横浜弁護士会川崎支部と地域司法 2」に記載したとおり,概ね,「原被告いずれかの住所地に概ね管轄が認められる。」と理解すれば十分なのですが,国内裁判管轄について詳細を把握したい場合には,次のことを理解する必要があります。

 国内裁判管轄の詳細については,ウィキペディアの記載が良くまとまっていますので,以下に引用します(ウィキペディアの記載は信じて良いものかどうか悩ましいことがありますが,これは正しく記載されているように思います。)。
1 内容による分類
 法律の規定により直接定まる管轄のことを,法定管轄という。
(1)職分管轄
 取り扱う事務について定める管轄のこと。訴訟する事件の内容によって,裁判所は変わる。例えば,訴訟事件を処理する権限と民事執行事件を処理する権限は別々の職分権である。
(2)事物管轄
 事件の性質の違いに基づいて定められる管轄のこと。訴額(訴訟物の価額)が140万円以下の場合は簡易裁判所,それ以上の場合は地方裁判所が第一審の裁判権を有する(例外的に高等裁判所が第一審の裁判権を担当する場合もある)。
(3)土地管轄
 事件について,どの土地の裁判所が担当するかの定めをいう。事件と管轄区域の関連(裁判籍)の有無により定まる。
 ア 普通裁判籍
 民事訴訟の原則的な裁判籍(土地管轄)のことで,被告の生活の本拠地に認められる(民事訴訟法4条)。
 イ 特別裁判籍
 事件ごとの特殊性に応じて認められる裁判籍(土地管轄)のこと(民事訴訟法5条)。
(ア)義務履行地を原因とするもの
  a 財産権上の訴え:義務履行地(1号)
  b 手形・小切手訴訟:支払地(2号)
(イ)物や権利の所在地を原因とするもの
  a 不動産に関する訴え:不動産所在地(12号)
  b 登記又は登録に関する訴え:登記又は登録をすべき地(13号)
  c 日本国内に住所がない者に対する財産権上の訴え:目的財産・差し押さえることができる被告の財産の所在地(4号)
  d 住所が知れない者に対する財産権上の訴え:目的財産・差し押さえることができる被告の財産の所在地(4号)
  e 会社その他の社団又は財団(以下「会社等」という)に関する,会社等からの社員(であった者)に対する訴え:会社等の普通裁判籍の所在地(8号イ)
  f 会社等に関する,社員(であった者(資格に基づく場合))から社員(であった者)に対する訴え:会社等の普通裁判籍の所在地(8号イ)
  g 会社等の役員(であった者)に対する訴えで,役員としての資格に基づくもの:会社等の普通裁判籍の所在地(8号ロ)
  h 会社からの発起人(であった者)・検査役(であった者)に対する訴えで,当該資格に基づくもの:会社等の普通裁判籍の所在地(8号ハ)
  i 相続権に関する訴え:相続開始のときにおける被相続人の普通裁判籍の所在地(14号)
  j 遺留分に関する訴え:相続開始のときにおける被相続人の普通裁判籍の所在地(14号)
  k 死亡によって効力を生ずべき行為(遺贈など)に関する訴え:相続開始のときにおける被相続人の普通裁判籍の所在地(14号)
  l 相続債権など相続財産の負担に関する訴えで,相続財産の全部又は一部が相続開始のときにおける被相続人の普通裁判籍の所在地にある場合で,相続権・遺留分・死亡によって効力を生ずべき行為のいずれに関する訴えでもないもの:相続開始のときにおける被相続人の普通裁判籍の所在地(15号)
m 行為地法的なもの 不法行為に関する訴え:不法行為地(9号)
  n 船舶の衝突その他海上の事故に基づく損害賠償請求訴訟:損害を受けた船舶が最初に到達した地(10号)
(ウ)住所地法的なもの
  a 事務所又は営業所を有する者に対する訴えで,その事務所又は営業所における業務に関するもの:当該事務所又は営業所の所在地(5号)
  b 船舶債権その他船舶を担保とする債権に基づく訴え:船舶所在地(7号)
(エ)本国法的なもの
  a 船員に対する財産権上の訴え:船舶の船籍所在地(3号)
  b 船舶所有者その他船舶を利用する者に対する船舶又は航海に関する訴え:船舶の船籍所在地(6号)

2 強行性の有無による分類
(1)任意管轄
 法定管轄のうち,当事者の利益を図る目的で定められたもので,当事者の意思で変更することも差し支えない管轄をいう。反対は専属管轄。
 ア 合意管轄 – 当事者が同意により認めた,法定管轄とは異なる土地管轄のこと。
 イ 応訴管轄 – 原告の訴えの提起が管轄権のない裁判所になされた場合に,被告が応訴することで認められる管轄。
(2)専属管轄
 法定管轄のうち,公益的要請から裁判権が特定の裁判所に専属し,当事者の意思により変更することのできない管轄をいう。反対は任意管轄。

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