【法人の債務整理】(3)債務整理を依頼された場合に注意すべき点
弁護士に債務整理を依頼された場合に注意していただきたい主な点は以下のとおりです。
ア 法人名義のクレジットカードが使えなくなったり,今後,新たな借入が難しくなったりすること
債務整理手続のいずれの手続をとるにせよ,弁護士からの受任通知を受領した段階で,貸金業者はその債務者について事故情報を載せることになります(いわゆる「ブラックリスト」)。
そのため,弁護士に債務整理を依頼された場合,法人名義のクレジットカード(そのクレジットカードと連動するETCカード等も含みます。)を利用できなくなります。
また,それまで追加融資等を受けやすかった方でも新規の借入や追加融資を受けることが難しくなりますので注意してください。
そのため,口座引落しをされないように,その預金口座から金員を引き出しておく必要があります。
この場合,その預金口座が給料等入金のある口座であれば,給料等の入金先を別の預金口座に変更しておいたほうが無難です。
イ 銀行等の金融機関が債権者となっている場合,その金融機関の預金口座が使用できなくなること
銀行等の金融機関から借入がある場合,その金融機関は,弁護士からの受任通知を受領した段階で,依頼者の方 (債務者)の預金口座を凍結し,その金融機関にある預金と貸付金の相殺を行います。
そのため,銀行等の金融機関が債権者となっている場合,その預金口座から金員を引き出しておく必要があります。
また,その預金口座が給料等入金のある口座であれば,給料等の入金先を別の預金口座に変更しておく必要があります(その金融機関とは別の金融機関にしておかないと相殺される危険があります。)。
さらに,その預金口座からの引落しにより返済することになっているもの(公共料金等)については,支払方法を変更する必要があります。
ウ 新規の借入や返済が禁止されること
弁護士に債務整理を依頼された後に,新規の借入を行ったり,特定の債権者(親戚・知人を含みます。)に対してだけ返済したりすることができなくなります。
エ 財産を減少させるような行為が禁止されること
弁護士に債務整理を依頼した後に,売掛金等を第三者に譲渡するような行為を行うことができなくなります。