川崎パシフィック法律事務所

イ 個人再生手続に要する時間

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イ 個人再生手続に要する時間

イ 個人再生手続に要する時間

(ア) 受任通知発送から債権届出及び取引履歴開示まで

おおむね1か月程度かかります。
なお,近時,信販系会社からの取引履歴の開示が大幅に遅れる傾向があり,数か月かかるケースも増えています。

(イ) 取引履歴開示から利息制限法所定の利率に基づく引直計算まで

おおむね1か月程度かかります。
なお,個人再生申立書には依頼者の方の3か月分の家計全体の状況を記載しなければなりません。
しかし,依頼者の方で普段家計簿をつけている方はあまりいらっしゃらないので,受任通知発送から申立書類の作成までに3か月分の家計簿をつけてもらうことになります。

(ウ) 再生申立書類の作成及び裁判所への申立て

当事務所において2時間程度の打合せを経て行います。
書類の不備がある場合でも,すみやかに追完していただければ申立書類を完成いたします。

(エ) 申立てから再生手続開始決定まで

東京地方裁判所や横浜地方裁判所においては再生審尋(審問)制度がとられていないため,無審尋(無審問)で,申立日から数日程度で再生手続開始決定がなされます。
しかし,横浜地方裁判所川崎支部,同相模原支部などでは再生審尋(審問)制度がとられており,申立日からおおむね1週間から2週間後に行われる再生審尋(審問)日に,裁判所に弁護士と依頼者の方が同行し,その場で再生手続開始決定をなされることが多いため,おおむね申立てから再生手続開始決定まで1~2週間かかることになります。
再生手続開始決定と同時に積立勧告がなされることが多くなっています。

(オ) 再生手続開始決定から再生計画案及び報告書提出期日まで

おおむね3か月程度かかります。

(カ) 再生計画案及び報告書提出から書面による決議に付する旨の決定まで

おおむね2週間程度かかります。

(キ) 書面による決議に付する旨の決定から再生計画認可決定まで

おおむね1か月程度かかります。

(ク) 再生計画認可決定から再生計画認可決定確定まで

再生計画認可決定がなされると,関係者に対して認可決定がなされた旨通知され,その後2週間以内に即時抗告がなされなければ確定しますので,再生計画認可決定から再生計画認可決定確定までおおむね2週間程度かかります。

(ケ) 再生計画認可決定確定から各債権者に対する支払開始まで

再生手続認可決定確定日の属する月の翌月から支払開始となりますので,通常は1か月程度かかります。
もっとも,再生手続認可決定確定日が11月25日で,各債権者に対する支払が毎月5日になっているような場合には,10日程度しかないことになります。
そのような場合でも依頼者の方(債務者)が支払が間に合わない事態を生じさせることがないような配慮をしております。

(コ) 各債権者に対する支払開始から支払完了まで

原則として3年間で返済することになりますが,3年で返済するのが難しい場合には5年間かけて返済することができます。


再生手続開始決定

「再生手続開始決定」とは,裁判所が,債務者について「支払不能のおそれがあり,または事業の継続に著しい障害をきたすことなく債務を弁済できない」状態にあることや,「将来において継続的または反復して収入を得る見込みがある」状態にあることを認めるという決定を出すものです。
再生手続開始決定が下されると,債務者は「再生債務者」と呼ばれるようになります。

再生審尋(審問)

「再生審尋(審問)」とは,裁判官と債務者(申立人),債務者(申立人)の代理人である弁護士が面接をし,再生手続開始決定をするかどうかを判断するものです。
申立書に不備がない場合には,債務額がいくらであるかを把握しているかどうか等の質問がなされることが多い点は破産審尋(審問)と同様ですが,これから確実に各債権者に対する弁済をしていくことができるかについても質問されることが多い点は破産審尋(審問)と異なります。

積立勧告

再生計画案どおりに履行することができるかどうか裁判所が判断するために,裁判所が依頼者の方(再生債務者)に対し,月々の計画弁済予定額の積立を勧告する制度が,「積立勧告」です。
積立期間は3か月,積立金額は計画案による1か月あたりの弁済予定額となることが多くなっています。
積立方法は,申立人代理人名義口座への振込か申立人本人名義の口座新設後の同口座への入金のいずれかになります。

再生計画案

「再生計画案」とは,再生計画のもととなる案のことをいいます。
再生計画案においては,各債権者への返済総額や月々の弁済額等の明細を示すことになります。

報告書

財産目録,貸借対照表(民事再生法124条2項),再生手続開始に至った事情,再生債務者の業務及び財産に関する経過及び現状等(同法125条1項)についての報告書のことですが,再生手続開始申立書に記載した内容から変動がない場合には,そのことを記載すれば足りることになっています。

書面による決議に付する旨の決定

裁判所は,再生計画案及び報告書が提出されたときに,再生計画案を「書面による決議に付する旨の決定」を行います(民事再生法230条3項)。
書面による決議に付する旨の決定が行われると,積極的に再生計画案に不同意を表明する者が議決権者(債権者)の半数に足らず,かつ議決権数の2分の1を超えないとき,再生計画案は可決されます(230条6項)。  他方,債権者の半数が積極的に再生計画案に不同意を表明するか,全体の債権額の半分以上を有する債権者が積極的に再生計画案に不同意を表明すると,再生計画案は否決され,再生手続は廃止されてしまいます。  再生手続が廃止されてしまうと,依頼者の方は自己破産手続を選ぶか任意整理手続を選ぶかになってしまいます。
もっとも,債権者からすれば自己破産手続よりも個人再生手続のほうが総弁済額が多くなることが多く,債権者が積極的に不同意を表明することはほとんどありません。

再生計画案認可決定

再生計画案が可決された場合,裁判所は以下の場合を除いて再生計画を認可します(民事再生法174条2項,231条2項)。

① 法律に違反しているとき
② 遂行される見込みがないとき
③ 不正な方法で決議が成立したとき
④ 債権者の一般の利益に反するとき(清算価値保障原則に反するとき)
⑤ 債務者が将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがないとき
⑥ 住宅資金債権の額等を除いた債権の総額が5,000万円を超えるとき
⑦ 最低弁済額を下回っているとき

実際には,上の①~⑦の要件を充たしていることについては,再生手続開始決定時点でほぼ判断されています。
そのため,再生計画案認可決定を下す段階で上の①~⑦の要件を充たさないとして認可されないという事態は,ほとんど考えられません。

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