3 借地・借家問題の基本的な流れ
(1) 建物明渡し,土地明渡し,建物収去土地明渡しまたは建物退去土地明渡しのケース
【任意交渉段階】
ご依頼者様のご要望に応じて任意交渉を申し入れ,または相手方からの任意交渉の申入れに対応します。
任意交渉により話合いがまとまれば,和解書を取り交わし,事件は終了します。
ただし,相手方が占有を移転するおそれがあるような場合には,占有移転禁止の仮処分命令や処分禁止の仮処分命令などの保全命令申立てを優先し,あえて任意交渉を行わなかったり,保全段階における保全執行完了後に任意交渉を行ったりすることもあります。
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【保全段階】
相手方が占有を移転するおそれがある場合には,建物明渡請求訴訟などを提起する前提として,占有移転禁止の仮処分命令や処分禁止の仮処分命令などの保全命令を申し立てます。
占有移転禁止の仮処分命令申立ての場合,同命令が発令された後すみやかに保全執行を申し立て,保全執行に立ち会います。
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【訴訟段階】
建物明渡請求などの訴訟を提起し,またはそれらの訴訟提起を受けて,ご依頼者様の代理人として訴訟期日に出頭し適切な主張をし証拠書類の提出等を行います。
この訴訟の中で和解が成立するか,判決が確定した後で,相手方が明渡しなどを履行したときには事件は終了します。
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【強制執行段階】
相手方が判決や和解の結果を任意に履行しない場合,強制執行申立てが必要になります。
強制執行手続が完了すれば事件は終了します。
(2) 借地非訟(借地条件変更,増改築許可,土地の賃借権譲渡もしくは転貸の許可,または競売もしくは公売に伴う土地賃借権譲受許可)申立てのケース
【任意交渉段階】
ご依頼者様のご要望に応じて任意交渉を申し入れ,または相手方からの任意交渉の申入れに対応します。
任意交渉により話合いがまとまれば,和解書を取り交わし,事件は終了します。
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【借地非訟段階】
任意交渉で話合いがまとまらなかった場合,借地条件変更,増改築許可,土地の賃借権譲渡もしくは転貸の許可,または競売もしくは公売に伴う土地賃借権譲受許可を申し立て,または相手方からの訴訟提起に対応して,ご依頼者様の代理人として借地非訟手続期日に出頭し適切な主張をし証拠書類の提出等を行います。
土地の賃借権譲渡または転貸の許可申立事件や競売または公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件が係属している場合には,借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受が申し立てられることもあります。
この借地非訟手続の中で和解が成立するか,審判が確定すれば事件は終了します。
(3) 地代等増減額請求または賃料増減額請求のケース
【任意交渉段階】
ご依頼者様のご要望に応じて任意交渉を申し入れ,または相手方からの任意交渉の申入れに対応します。
任意交渉により話合いがまとまれば,和解書を取り交わし,事件は終了します。
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【調停段階】
任意交渉で話合いがまとまらなかった場合,地代等増減額請求調停もしくは賃料増減額請求調停を申し立て,または相手方からの調停申立てに対応して,ご依頼者様の代理人として調停期日に出頭し適切な主張をし証拠書類の提出等を行います。
調停が成立するか,調停に代わる審判が確定すれば事件は終了します。
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【訴訟段階】
調停不成立で調停が終了するか,調停に代わる審判が下されたものの異議申立てがなされたときには,地代等増減額請求訴訟もしくは賃料増減額請求訴訟を提起し,またはそれらの訴訟提起に対応して,ご依頼者様の代理人として借地非訟に出頭し適切な主張をし証拠書類の提出等を行います。
この訴訟の中で和解が成立するか,判決が確定すれば事件は終了します。