8 地代等増減額請求,賃料増減額請求
(1) 地代等増減額請求,賃料増減額請求とは
ア 地代等増減額請求とは,地上権または土地賃貸借に基づく地代まはた土地の賃料(これを「地代等」といいます。)について,借地権設定者(賃貸人,貸主,地主)が借地権者(賃借人,借主,借地人)に対し増額を求める請求及び借地権者(賃借人,借主,借地人)が借地権設定者(賃貸人,貸主,地主)に対し減額を求める請求をいいます(借地借家法第11条)。
イ 賃料増減額請求とは,建物賃貸借に基づく賃料(家賃)について,賃貸人(貸主,大家)が賃借人(借主,借家人)に対し増額を求める請求及び賃借人(借主,借家人)が賃貸人(貸主,大家)に対し減額を求める請求をいいます(借地借家法第32条)。
(2) 調停前置主義の採用など
ア 地代等増減額請求,賃料増減額請求ともに,当事者間の協議で話がつけば,それで解決しますが,解決しない場合には,原則として,訴訟提起に先立ち,民事調停を申し立てる必要があります(調停前置主義/民事調停法第24条の2第1項)。
民事調停を経ることなく地代等増減額請求訴訟または賃料増減額請求訴訟が提起された場合,受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるという例外的なときを除けば,その事件が調停に付されます(同条第2項)。
イ 地代等増減額請求,賃料増減額請求ともに,調停委員中の1名は土地家屋調査士,不動産鑑定士などの不動産問題の専門家が選任されることが多く,調停委員会が提示する調停条項案に合理性のあることが多いように思います。
調停が成立しない場合でも,裁判所が調停に代わる決定(民事調停法第17条)を下すことがあり,これに当事者双方が異議を申し立てないときには同決定が確定します(民事調停法第18条)。
(3) 訴訟による解決
地代等増減額請求,賃料増減額請求において調停不成立となった場合または調停に代わる決定が下されたものの同決定に対して適法に異議が出された場合には,当事者は,地代等増減額請求訴訟または賃料増減額請求訴訟を提起して,訴訟手続の中で解決を目指すこととなります。