川崎パシフィック法律事務所

8 クレーマー対策特有の問題

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8 クレーマー対策特有の問題

8 クレーマー対策特有の問題

(1) クレーマー対応の基本

クレーマーは,顧客(市民)が企業や行政に対し,正当な要求であるかのように装う点に特質があります。
そのため,事業者(企業)や行政としても,顧客至上主義といった呪縛にとらわれ,クレーマーの過大な要求を受け入れてしまいやすいという特徴があります。

しかしながら,他の顧客(市民)に対して行わない利益の供与を特定のクレーマーに対してだけ行うということは,企業は行政のコンプライアンスの観点から許されるものではありません。

悪質クレーマーか否かを適切に判断し,悪質クレーマーであると判断できた段階では,適切に排除する必要があります。

クレーマー対応においては,以下の3段階のプロセスを経ることが肝要です。

クレーマー対応においては,以下の3段階のプロセスを経ることが肝要です。

ア 事実関係の確認の段階

クレームがなされた段階で,クレームに値するだけの事実が本当にあるのかどうかがわからなければ,それが正当な要求なのか悪質なクレームなのかをまったく判断することができません。

そこで,まずはクレームに値するだけの事実が本当にあるのかどうかを,客観的証拠に照らして確認する必要があります。

この事実関係の確認の段階で,およそクレームに値するだけの事実がないと判断できれば,クレームを述べてきた者を悪質クレーマーと認定して適切に排除すれば足ります。

イ 確認できた事実からはたすべき責任と要求との比較

事実関係の確認の段階で,クレームに値するだけの事実があると判断できた場合には,その確認できた事実からはたすべき責任がどの程度のものであるかを確定する必要があります。

そして,その確定したはたすべき責任の程度に応じた責任をはたすべきであって,それ以上の要求がなされた場合には断固拒絶すべきです。

ウ 法的措置の段階

およそクレームに値するだけの事実がないと判断できた場合や事実関係の確認の段階でクレームに値するだけの事実があると判断できた場合であってもはたすべき責任の程度を超えた要求がなされたときにもクレーマーがなお引き下がらないときには,弁護士に依頼することを含めた法的措置を検討すべきです。

弁護士に依頼した場合の対応としては,「1 民事介入暴力・クレーマー問題について弁護士に依頼されたら」をご覧いただければと思います。

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