川崎パシフィック法律事務所

(1)交通事故事件における請求の相手方とその根拠

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(1)交通事故事件における請求の相手方とその根拠

(1)交通事故事件における請求の相手方とその根拠

ア 加害者に対して

(ア) 民法709条(及び民法710条)に基づく請求

まず,加害者に対して,民法709条(及び民法710条)に基づいて請求することが可能です。
民法709条では,「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されていますので,自動車等の運転について過失のある加害者に対しては,被害者に生じた損害を請求することが可能になります。

(イ) 自賠法3条に基づく請求

また,加害者に対しては,自賠法3条に基づいて請求することも可能です。
自賠法3条本文では,「事故のために自動車を運行の用に供する者は,その運行によつて他人の生命又は身体を害するときは,これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。」と規定されていますので,運転した加害者に対しては,「自動車を運行の用に供した者」(運行供用者)として,被害者に生じた損害を請求することが可能になります。
この自賠法3条に基づく請求においては,民法709条と異なり「故意又は過失」を立証する必要がないので,非常に容易に請求が可能となっています。
なお,自賠法3条但書には,ある一定の条件を充たした場合には責任を免れることが規定されていますが,加害者等が免責されることはまずありませんので,気にされる必要はありません。

イ 加害者以外の者に対して

(ア) 自賠法3条に基づく請求

自賠法3条に基づき請求することのできる「自動車を運行の用に供した者」(運行供用者)とは,一般に,自動車の保有者(所有者のほか正当な権限を持って自動車を使用するものを含みます。自賠法2条参照)を指します(それ以外にも適用が認められる場合があります。)。
そのため,自動車検査証(車検証)において加害自動車の所有者または使用者欄に記載のある者に対しては,基本的に,自賠法3条に基づいて,被害者に生じた損害を請求することが可能です。
これにより,任意保険に加入している者(法人等を含みます。)を請求の相手方(被告)に加えることが可能になり,賠償額の回収可能性が飛躍的に高まります。

なお,加害自動車についての自動車検査証(車検証)に記載されている情報である,登録自動車についての「登録事項等証明書」を,被害者において入手するには,「交通事故証明書」(交通事故証明書については,「2 交通事故事件の相談をする際に持参していただきたい資料」の脚注5をご参照ください。)中の「車両番号」(=ナンバープレート)の情報が必要となります。
従前は,この「車両番号(自動車登録番号)」の情報さえあれば,どなたでも,運輸支局または自動車検査登録事務所において「登録事項等証明書」を入手することができていました。
しかし,法改正により,平成19年11月19日以降,原則として「車両番号(自動車登録番号)」のみならず,「車台番号」(=フレームナンバー)の情報も把握していないと「登録事項等証明書」を取得できないのが原則となってしまっています。
もっとも,弁護士に依頼されれば,弁護士法23条の2に基づく請求により,「車両番号(自動車登録番号)」情報だけで,「登録事項等証明書」を入手することが可能です。
また,軽自動車についても,弁護士法23条の2に基づく請求により,自動車検査証(車検証)に記載されている情報である,「軽自動車検査記録簿の写し」を入手することが可能です。

(イ) 民法715条1項に基づく請求

また,加害車両の運転者が勤務先会社の業務中に業務の一環として運転していたような場合には,加害者の勤務先会社に対し,民法715条1項に基づき,被害者に生じた損害を請求することが可能です。

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