川崎パシフィック法律事務所

2 不当要求排除・反社会的勢力との関係遮断の必要性

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2 不当要求排除・反社会的勢力との関係遮断の必要性

2 不当要求排除・反社会的勢力との関係遮断の必要性

不当要求排除及び反社会的勢力との関係遮断は,以下の3点から必要となります。

(1) 企業(事業者)の損失回避(企業防衛)

不当要求に屈して利益供与等に応じてしまうことは企業(事業者)の損失につながります。
また,平成19年6月19日,犯罪対策閣僚会議幹事会申合せとして,「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(反社指針)及び「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説」(反社指針解説)が策定されています(反社指針及び反社指針解説の詳細については, 法務省HP「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について 」 をご覧ください。)。

この反社指針解説には,「暴力団を始めとする反社会的勢力が,その正体を隠して経済的取引の形で企業に接近し,取引関係に入った後で,不当要求やクレームの形で金品等を要求する手口がみられる。」という記載があります。

現に,反社指針には,「反社会的勢力は,企業で働く従業員を標的として不当要求を行ったり,企業そのものを乗っ取ろうとしたりするなど,最終的には,従業員や株主を含めた企業自身 に多大な被害を生じさせるものであることから,反社会的勢力との関係遮断は,企業防衛の観点からも必要不可欠な要請である。」とも記載されているところです。

さらに,不当要求に応じたり反社会的勢力と関係を有していたりすることが発覚すれば当該企業のイメージは著しく低下し,当該企業が倒産する等の事態を招くこともあります。
このように,不当要求排除及び反社会的勢力との関係遮断は,企業(事業者)の損失回避(企業防衛)にとって不可欠な要請であるといえます。

(2) 企業(事業者)の社会的責任・コンプライアンス遵守

反社会的勢力が不当要求行為等により得た違法・不当な収益により組織の維持・拡大を図るほか同収益を違法・不当な活動への投資等に用いるものである以上,企業は,その社会的責任として,不当要求排除や反社会的勢力との関係遮断といった反社会的勢力による資金獲得を防止することが求められます。

現に,反社指針解説には,「相手方が不当要求等を行わないとしても,暴力団の構成員又は暴力団と何らかのつながりのある者と契約関係を持つことは,暴力団との密接な交際や暴力団への利益供与の危険を伴うものである。」旨記載されています。

そのため,反社指針にも,以下のように記載されています。
「反社会的勢力を社会から排除していくことは,暴力団の資金源に打撃を与え,治安対策上,極めて重要な課題であるが,企業にとっても,社会的責任の観点から必要かつ重要なことである。

特に,近時,コンプライアンス重視の流れにおいて,反社会的勢力に対して屈することなく法律に則して対応することや,反社会的勢力に対して資金提供を行わないことは,コンプライアンスそのものであるとも言える」。
このように,企業(事業者)の社会的責任・コンプライアンス遵守の観点からも,不当要求排除及び反社会的勢力との関係遮断が求められています。

(3) 治安対策

前記(2)記載のとおり,反社会的勢力が不当要求行為等により得た違法・不当な収益により組織の維持・拡大を図るほか同収益を違法・不当な活動への投資等に用いるものである以上,治安対策の観点からも,不当要求排除及び反社会的勢力との関係遮断が求められています。

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