川崎パシフィック法律事務所

6 暴力団排除条例(暴排条例) (1)神奈川県暴力団排除条例

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6 暴力団排除条例(暴排条例) (1)神奈川県暴力団排除条例

6 暴力団排除条例(暴排条例) (1)神奈川県暴力団排除条例

(1) 神奈川県暴力団排除条例

ア 意義

暴力団排除条例とは,地方自治体が市民生活から暴力団の影響力を排除するための総合的な施策を制定する条例をいい,神奈川県では平成23年4月1日に施行されています(その後,平成30年7月1日に改正条例が施行されています。)。

イ 特徴

神奈川県暴力団排除条例では,以下の行為等を禁止しており,事業者を事実上規制の対象としていることが大きな特徴となっています。

(ア) 事業者が,暴力団と,暴力団の利益となる商取引をしたり,利益を供与すること(第23条1項・2項)
(イ) 県が暴力団や暴力団関係者,暴力団と密接な関係を有する者に公共事業を受注させたり,給付金を給付すること(第9条,第10条)
(ウ) 暴力団事務所に少年を立ち入らせること(第17条1項)
(エ) 学校等の公共施設周辺で暴力団事務所を新設すること(第16条)
(オ) 暴力団事務所の用に供されることを知りながら宅地等の譲渡等を行うこと(第25条)
(カ) 暴力団事務所の用に供されることを知りながら宅地等の売買・交換・貸借の代理・仲介を行うこと(第26条)

ウ 事業者に求められること

神奈川県暴力団排除条例上,事業者には,以下の(ア)~(ケ)記載の対応をとることが求められています。

(ア) 取引の相手方が暴力団でないことを確認すること(第22条1項)
(イ) 書面による契約には暴力団排除条項を入れること(第22条2項)
(ウ) 相手が暴力団と判明したら契約を解除すること(第22条3項)
(エ) 暴力団に利益を供与したり,暴力団との間でその利益となるような契約を締結したりしないこと(第23条)

同条については,事業者は,その事業に関し,以下のa.~f.を行うことが禁止されています。
この規定に違反した場合,調査(第27条),勧告(第28条),公表(第29条)の対象となります。

a. 暴力団員等,暴力団員等が指定したもの又は暴力団経営支配法人等(以下,この項では単に「暴力団員等」という。)に対し,暴力団の威力を利用する目的で,金銭,物品その他の財産上の利益を供与すること(第23条1項1号)
b. 暴力団員等に対し,暴力団の威力を利用したことに関し,金銭,物品その他の財産上の利益を供与すること(第23条1項2号)
c. 暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら,暴力団員等に対して出資し,又は融資すること(第23条2項1号)
d. 暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら,暴力団員等から出資又は融資を受けること(第23条2項2号)
e. 暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら,暴力団等に,その事業の全部又は一部を委託し,又は請け負わせること(第23条2項3号)
f. 暴力団事務所の用に供されることが明らかな建築物の建築を請け負うこと(第23条2項4号)
g. 正当な理由なく現に暴力団事務所の用に供されている建築物(現に暴力団事務所の用に供されている部分に限る。)の増築,改築又は修繕を請け負うこと
h. 儀式その他の暴力団の威力を示すための行事の用に供され,又は供されるおそれがあることを知りながら当該行事を行う場所を提供すること(第23条2項6号)
i. 前記aないしhに掲げるもののほか,暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなるおそれがあることを知りながら,暴力団員等に対して金銭,物品その他の財産上の利益を供与すること(第23条2項7号)

エ 調査・勧告・公表

(ア) 調査

公安委員会は,利益供与等の禁止(第23条1項・2項),暴力団事務所の用に供されることを知りながら宅地等の譲渡等をすることの禁止(第25条2項),暴力団事務所の用に供されることを知りながら宅地等の売買・交換・貸借の代理・仲介をすることの禁止(第26条2項)に違反した疑いがあると認められる者その他の関係者に対し,その違反の事実等を明らかにするために説明又は資料の提出を求めることができます(第27条)。

(イ) 勧告

公安委員会は,利益供与等の禁止(第23条1項・2項),暴力団事務所の用に供されることを知りながら宅地等の譲渡等をすることの禁止(第25条2項),暴力団事務所の用に供されることを知りながら宅地等の売買・交換・貸借の代理・仲介をすることの禁止(第26条2項)に違反する行為があった場合において,当該行為が暴力団排除に支障を及ぼし,又は及ぼすおそれがあると認めるときは,当該行為をした者に対し,必要な勧告をすることができます(第28条1項)。

公安委員会は,暴力団事務所の用に供されることを知りながら宅地等の譲渡等をすることの禁止(第25条2項)に違反する行為がされようとしている場合においても,当該行為が暴力団排除に支障を及ぼし,又は及ぼすおそれがあると認めるときは,当該行為をしようとしている者に対し,必要な勧告をすることができます(第28条2項)。

(ウ) 公表

公安委員会は,必要があると認めるときは,以下のa.~c.のいずれかに該当する者の氏名(法人その他の団体にあっては,名称及び代表者の氏名),住所(法人その他の団体にあっては,主たる事務所の所在地),違反の事実その他公安委員会が必要と認める事項を公表することができます(第29条,同施行規則第6条2項)。

a. 正当な理由なく第27条の規定(調査)による説明若しくは資料の提出をせず,又は虚偽の説明若しくは資料の提出をした者
b. 正当な理由なく第28条1項の規定による勧告(利益供与等の禁止(第23条1項・2項),暴力団事務所の用に供されることを知りながらの宅地等の譲渡等の禁止(第25条2項),暴力団事務所の用に供されることを知りながらの宅地等の売買・交換・貸借の代理・仲介の禁止(第26条2項)等に違反した者に対する勧告)に従わなかった者
c. 正当な理由なく第28条2項の規定による勧告(暴力団事務所の用に供されることを知りながらの宅地等の譲渡等の禁止に違反しようとしている者に対する勧告)に従わないで第25条2項の規定(暴力団事務所の用に供されることを知りながらの不動産取引の禁止)に違反した者

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