川崎パシフィック法律事務所

4 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)(8)指定暴力団の代表者等の損害賠償責任の追及

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4 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)(8)指定暴力団の代表者等の損害賠償責任の追及

4 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)(8)指定暴力団の代表者等の損害賠償責任の追及

暴対法には,指定暴力団の代表者等の損害賠償責任を追及できる2つの規定(対立抗争等に係る損害賠償責任,威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任)が設けられています。

ア 対立抗争等に係る損害賠償責任(暴対法第31条)

対立抗争等に係る損害賠償責任追及の要件は,以下の(ア)~(ウ)のとおりです。
(ア) 指定暴力団相互間又は一の指定暴力団内部の集団相互間に対立が生じたこと
(イ) 当該対立に伴い指定暴力団の指定暴力団員による凶器を使用した暴力行為が行われたこと
(ウ) 当該暴力行為により他人の生命,身体又は財産が侵害されたこと

イ 威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任(暴対法第31条の2)

(ア)威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任追及の要件は,以下のa.~c.のとおりです(島村英・工藤陽代・松下和彦「『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律』について」〔警察學論集第61巻第9号〕57頁)。
a. 請求の相手方が代表者等である指定暴力団の指定暴力団員によって当該不法行為が行われたものであること

b. 当該不法行為が威力利用資金獲得行為(当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為)を行うについて行われたものであること

c. 当該損害が当該不法行為により生じたものであること

(イ) なお,指定暴力団の代表者等が以下のa.またはb.の事由を立証した場合には,当該代表者等は損害賠償責任を免れることとなっています(暴対法第31条の2第1号・第2号)。
a. 当該代表者等が当該代表者等以外の当該指定暴力団の指定暴力団員が行う威力利用資金獲得行為により直接又は間接にその生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得,又は当該資金を得るために必要な地位を得ることがないとき。

b. 当該威力利用資金獲得行為が、当該指定暴力団の指定暴力団員以外の者が専ら自己の利益を図る目的で当該指定暴力団員に対し強要したことによって行われたものであり,かつ,当該威力利用資金獲得行為が行われたことにつき当該代表者等に過失がないとき。

(ウ) もっとも,「指定暴力団の現状を前提とすると,代表者等において第1号又は第2号に規定する事由のいずれを立証することも極めて困難であると考えられる」(前掲「『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律』について」58頁)ことから,前記3要件を立証することができれば威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任を追及することができると考えて差し支えありません。

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