川崎パシフィック法律事務所

8 死亡による逸失利益の算出方法

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8 死亡による逸失利益の算出方法

8 死亡による逸失利益の算出方法

(1) 死亡による逸失利益算出のための計算式

死亡による逸失利益は,原則として次の計算式により算出します。
死亡による逸失利益
=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

この計算式によりどのようにして死亡による逸失利益が算出されるのかが分かるように,以下の(2)及び(3)では,生活費控除率及び就労可能年数について説明します。
なお,上記のうち,ライプニッツ係数については 「7 後遺症による逸失利益の算出方法」 の 「(4)ライプニッツ係数とは何か」 の項で,基礎収入額については 「9 基礎収入」 の項で,それぞれ説明していますので,そちらをご参照ください。

(2) 生活費控除率とは何か

ア  生活費控除

死亡による逸失利益の算定においては,生活費が控除されることになっています。
これは,交通事故により被害者が亡くなられたことにより,その方が将来負担すべき生活費が必要なくなったことから,その分だけ控除する(損害と認めない)というものです。
この生活費控除については,次の赤本の記載のように,どのような立場の方が被害者であるかを基準に,一律に控除されることになっています。

イ  生活費控除率の基準

生活費控除率の基準については,赤本には次のように記載されています。
(ア) 一家の支柱
① 被扶養者1人の場合・・・・・・・・・40%
② 被扶養者2人以上の場合・・・・・・・ 30%
(イ) 女性(主婦,独身,幼児等を含む)・・・30%

なお,女子年少者の逸失利益につき,全労働者(男女計)の全年齢平均賃金を基礎収入とする場合には,その生活費控除率を40~45%とするものが多い。
(ウ) 男性(独身,幼児等を含む)・・・・・・50%
(エ) 兄弟姉妹が相続人のときは別途考慮する
(オ) 年金部分
年金部分についての生活費控除率は,通常より高くすることが多い。

(3) 就労可能年数

就労可能年数については,赤本には以下のように記載されています(後遺症による逸失利益における労働能力喪失期間とほとんど同じです。)。
原則として67歳までとする。
未就労者の就労の時期については,原則として18歳とするが,大学卒業を前提と売る場合は大学卒業予定時とする。
高齢者については,平成20年簡易生命表の余命年数の2分の1,67歳までの就労可能年数と平均余命の2分の1の,いずれか長期の方を使用する。
なお,年金の逸失利益を計算する場合は平均余命年数とする。」。

(4) 死亡による逸失利益の算出例

たとえば,基礎収入額(年収)500万円で被扶養者2人以上の一家の支柱である男性の被害者の方が事故により52歳時点で亡くなられたとします。
すると,生活費控除率は30%,就労可能年数は67-52=15(年)となります。
死亡による逸失利益の算出方法は,前述のとおり,次の計算式により計算されます。
死亡による逸失利益
=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

この例では,死亡による逸失利益の金額は,以下のように算出されます。
5,000,000(基礎収入額(円))×(1-0.3(生活費控除率))×10.3797(労働能力喪失期間15年に対応するライプニッツ係数)
=36,328,950(円)

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